銀座の歩行者天国を歩きながら、白パンの脚の写真を撮りました。
- 2017/07/10
- 23:16
声をかける瞬間には、パッと見以上にはこだわりません。
相手と向き合ってから、少し話してみてからが、ナンパのスタート地点だとしているからです。
スタート地点ですらないときに、相手の見た目のことであれこれ考えただけで、瞬間は逃げてしまいます。
「じゃ、かずえちゃん」
「・・・」
「こっちに歩いてみようか」
「・・・」
面と向かってちゃん付けされて、真面目な表情には照れたような笑み。
パッと見以上の見た目にはこだわらないのは、熟女は表情で、いや熟女でなくても、女性は表情でグググッと印象が変わるというのがあります。
「さっきはさ」
「ええ」
「びっりしたでしょ?」
「うーん」
「突然だったから」
「そうですね」
「怪しいと思った?」
「それはないですけど・・・」
「どう思ったの?」
「なにか・・・」
「うん、いいよ」
「・・・」
「遠慮しないで言ってみて」
「なにかを売りつけられると思いました」
「そっか」
街中の雑踏を一人歩きしている女性は、こちらが思った以上に緊張していて、表情は強張ってます。
やがて表情が変われば、仕草や声質までも変わってきて、最初のパッと見とは違った雰囲気に変化します。
なので最初は、パッと見以上にはこだわらず、何も考えず、自分の直感通りに動いてます。
「普段はさ」
「ええ」
「道で声かけられたら、どう思うの?」
「普段だったら・・・」
「うん」
「うーん」
「言ってみて」
「・・・無礼だなって思います」
「無礼って」
「・・・」
「五右衛門みたいだね」
「・・・」
「ルパン三世の」
「・・・」
「まあ、どうでもいいか」
「でもさ」
「ええ」
「気持ちよくない?」
「えっ」
「すごく」
「うーん」
「こんな道の真ん中でさ、写真を撮るって」
「うーん」
「ホラッ」
「・・・」
「撮るよ」
「・・・」
「そのまま歩いて」
「・・・」
「撮るよ」
「・・・」
「もう、自然な流れで」
「・・・」
「動きがある写真が好きなの」
「・・・」
「かしこまって撮るよりも」
「・・・」
「だから何枚も撮るの」
「・・・」
「そのまま」
「・・・」
「ちょっとゆっくり歩いて」
銀座の歩行者天国の空気と、手にしていたカメラに、今回は助けられたようです。
自分自身にチカラがあって、なんとかできたと思うほど、私は自信家ではありません。
ナンパを再始動した当初は、小道具としてのカメラのつもりだったのが、撮る回数を重ねるごとに、扱いが慣れてきました。
そして不思議なことに、機械的なシャッター音が草食男子の私を肉食男子とさせます。
いや、男子ではない、肉欲中年、いや、エロのターミネーターでしょうか。
エロのみが私を明るくさせます。
「ちなみにさ」
「ええ」
「この後って?」
「このあとですか?」
「うん」
「ちょっと・・・」
「ちょっとどうしたの?」
「用事があります」
「何時?」
「5時です」
「銀座で?」
「いえ、品川です」
「じゃ、10分くらいかな」
「そうですね」
「こんな感じで撮らせて」
「ええ」
「気軽に」
「はい」
「そしたら謝礼として、なにかゴチするよ」
「そうですか」
「なにがいい?」
もう少し前のあたりで、ナンパの流れに選択枝が現れてました。
私の経験からすると、声をかけてからすんなりと尾いてくる女性は、ナンパ慣れのごちそう様体質か、援助交際の常習かのどちらかが紛れます。
私がチンコを出したときに、「ええっ」と驚いてしまうような家庭のある奥さんを狙っている以上、前の2者だと判明した場合は、今くらいの時点で理由をつけてバイバイしなければなりません。
が、この飾り気がない奥さんからは、平穏な家庭生活が透けて見えます。
独身中年男性しか感じることができない、家庭の営みの匂いがするのです。
写真を撮りながら歩いていたこのときに、そこまで考えたとはいいませんが、このまま続行とは思ってました。
「どこかさ」
「ええ」
「いきたい店とかある?」
「ええ・・・」
「食べたいものとか」
「あの」
「うん」
「雪乃コーヒーにいこうと思ってました」
「雪乃コーヒー?」
「知らないんですか?」
「あのぅ・・・、星乃コーヒーじゃなくて?」
「そうそう」
「だよね?」
「やだぁ」
ありがちな間違いですが、どうにも可笑しいみたいで、しばらく含み笑いをしている奥さんを目にしていると、声をかけたタイミングもよかったかもしれないと思えてきました。
「ま、細かいことなんだけど」
「フッ・・・」
「じゃ、星乃コーヒーにしよ」
「ええ」
「パンケーキたべよ」
「ええ、パンケーキが美味しいんですって」
「じゃ、ちょうどよかった」
「ええ」
「それとさ、かずえちゃん」
「はい」
「その敬語みたいなのやめようよ」
「コレ・・・」
「なんか、かしこまるのも変だし」
「クセなんです」
このとき、あ、と思ったのが。
奥さんは、言い訳を欲しがっている気が。
なし崩しでも、ごまかしでもなくて、呈のいい言い訳をつくってあげて。
もうちょっと和みつつも、ゆるやかな上下関係へといった流れでしょうか。
星乃コーヒーは数寄屋橋にありましたが、日曜日の今頃だと、混んでいて満席かもしれません。
満席だったら、丸の内仲通りのカフェが空いていると、さらに足を伸ばして写真を撮り、ジャマな大きなリュックを下ろして、傘も脇に置いて、まずカーディガンを脱がすと。
ベンチあたりで。
で、着衣のままお尻突き出しポーズ。
イヤイヤするのを、グイッと突き出させて。
で、ちょっと言葉責めを。
タイトルは「罠に嵌った奥さん、羞恥のヒップライン」というところでしょうか。
斜め後ろから奥さんの胸元を凝視ながら、私は反社会的な企てをしてました。
「脚を撮ろうかな」
「えっ」
「脚だね」
「あし・・・」
「その白パンがいいじゃん」
「これって・・・」
「うん」
「・・・」
「どうしたの?」
「撮ってから・・・」
「うん」
「どうするんですか?」
「ああ、その写真ね」
「ええ」
「鑑賞するの」
「え、鑑賞?」
「うん、スナップ写真のマニアがいてね」
「ええ」
「いいですねって」
「・・・」
「鑑賞だね」
「ネットとかには載せるんですか?」
「ああ、1部ね」
「ツイッターですか?」
「いや、ツイッターではないけど」
「・・・」
「個人的なブログみたいなものだね」
「写真にね」
「ええ」
「文章をつけるの」
「ふーん」
「簡単にね」
「ふーん」
「もちろん、名前とかね、仮名にするよ」
「ええ」
「じゃ、かずえちゃん」
「はい」
「いろいろ聞こうかな」
「・・・」
「差し支えない程度で」
「・・・」
「撮りながらね」
「あの」
「うん」
「ホントに顔を撮らないですか?」
「うん、確かめてみて」
「・・・」
「いま、ディスプレイするね」
「・・・」
「ホラッ」
「・・・」
「アゴから下でしょ?」
「はい」
「あとでね、もう一度見て」
「はい」
「それでダメなものは、その場で削除するから」
「ええ」
家庭のある奥さんをナンパするというのは、まぎれもなく反社会的な行為。
ですので、この辺りはごまかさずに、キチンと説明したほうがいいかもしれません。
そして趣味としての謝礼をすることで、お互いの言い訳をつくって、ギリギリの許容をさせて頂きます。
会話が転がらない感じもした奥さんでしたが。
かずえという字は、和江と書くとか、住んでいるのは江東区だとか、子供は2人だとか、銀座を歩いたのは3年ぶりだとか、そんなことを話ながら歩いて。
今日は御徒町で買い物をして、気分転換に一人でブラブラしようと途中下車したとのでした。
「あっ、まって」
「・・・」
「あのさ」
「ええ」
「御徒町で買い物ってさ」
「ええ」
「ジュエリー関係?」
「そうです」
「やっぱり」
「よくわかりましたね」
「うん、問屋があるでしょ?」
「ええ」
「いったことはないけど」
「ありますよ」
「で、ジュエリーをどうするの?」
「ハンドメイドするんです」
「ほぉおお~」
「・・・」
「そのリュックに、材料がはいってるんだ」
「ええ」
「すごいね」
そして星乃コーヒーに到着する前に、やっておくことがあります。
もっと思い切って、エロを全開にしておかなければなりません。
ざわついた路上から静かな店内に場所が移ると、2人の間の空気まで変わってしまうからです。
~ 続く ~